健康診断で「中性脂肪の数値が高い」と指摘を受けて、食事の内容を見直そうと前向きになられる方も多いでしょう。
しかし、40代となれば仕事に追われて、これまで食生活に気をかけたことがない男性が多いのではないでしょうか。
食事は毎日行うことですから、いくら「食事に気をつけよう」とはいっても、無理や我慢があって続かないのが正直な所です。
また、中性脂肪値が高いと指摘を受けても、そもそも中性脂肪が高いことによってどんなリスクがあるのか知らされていない方も多いでしょう。
この記事では、中性脂肪が何を表すのかということと、中性脂肪を効率良く減らす方法について詳しくご紹介していきます。
【この記事でわかること】
「中性脂肪とは何なのか?」「中性脂肪値が高いとどんなリスクが起こるのか」という理解を深め、自身の健康に興味を深める
中性脂肪値を指摘された際の減らし方を知る
脂肪とは何なのか?
中性脂肪の数値が高いと言われても、そもそも中性脂肪が何なのかを知らない方も多いでしょう。
中性脂肪とは、エネルギー源であるブドウ糖が不足した場合、それを補う栄養素です。
つまり、食事によって体内に蓄えられたエネルギーが余った場合、肝臓で中性脂肪が作られて、内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられます。
一方で、体に関する「脂肪」は、中性脂肪以外にも体脂肪や内臓脂肪など、いくつかあります。
ここでは個々の脂肪の特徴と、中性脂肪との違いについても触れておきます。
体脂肪
体脂肪とは、体に蓄えられる脂肪の総称を表し、中性脂肪がもとになっています。
また、体脂肪は付く場所によって「皮下脂肪」と「内臓脂肪」に分けられます。
皮下脂肪
皮下脂肪は、皮膚の下にある皮下組織に存在する脂肪です。
外界の温度差から身体を守ったり、ぶつかった時の衝撃を吸収するクッションのような役割を持っています。
男性よりも女性の方が付きやすいのが特徴です。
内臓脂肪
内臓脂肪は、内臓の周りに付く脂肪です。
皮下脂肪に比べて溜まりやすいのが特徴です。
男性や閉経前の女性に付きやすいです。
中性脂肪の役割
体脂肪は中性脂肪を原料として作られているため、中性脂肪が増えすぎると内臓脂肪や皮下脂肪が多くなり、肥満をはじめとした様々な病気を引き起こします。
つまり、中性脂肪は体に必要なものになりますが、増えすぎは健康被害をもたらす原因にもなるということです。
中性脂肪値の基準値とは?
血液中の中性脂肪の基準値は、30〜149mg/dlが正常値とされています。
中性脂肪は食後に増加するため、検査前10時間程度は食事をしない、水を飲まないことが理想的とされています。
40代を超えて中性脂肪値が高いと、どんなリスクがあるのか?
すでに健康診断で「中性脂肪が高い」と指摘を受けた男性は、どんな健康被害をもたらすのかをここで知っておきましょう。
まず、最も多いのは肥満症です。
誰もが知っている通り「肥満は万病の元」と言っても過言ではありません。
生活習慣病として代表的な、動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症などは、肥満が原因で引き起こされております。
また、中性脂肪が体に増えすぎると、血圧がドロドロになるという問題もあります。
これは近年、特に注目されているテーマで、中性脂肪が増えると脂質の代謝異常が起こり、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールが増加します。
その結果、不要なコレステロールを肝臓に運搬するコレステロールである、善玉コレステロール(HDコレステロール)が減少して血液中に不要な脂質が増えて、体中の血がドロドロになってしまいます。
体中の血液がドロドロした状態になると、血行が悪くなり、血管にドロドロの血液が詰まり、破損を引き起こし、動脈硬化症などを引き起こします。
さらには脳卒中や心臓病を引き起こすリスクも高まります。
中性脂肪とは普段の生活から溜まりやすいものですが、気をつけなければ自覚症状もなく体内で増加して重大な病気を引き起こす引き金になります。
中性脂肪を効率良く減らす方法
病院の健康診断で中性脂肪が高いと指摘を受けたら、中性脂肪を減らすためには毎日の生活習慣の改善、特に食事の見直しが必要になります。
ここでは、中性脂肪を減らすためにできる食事改善をメインにご紹介いたします。
現在、中性脂肪値が高いと指摘を受けた男性は、これからお伝えする食事法を2週間から1ヶ月実践してみましょう。
そして、毎日習慣化できるよう、ご自身なりに組み込んで頂くと、さらに効果が期待できます!
中性脂肪を効果的に減らす食品を食べる
中性脂肪を減らすために、良質な脂や食物繊維、植物性タンパク質を摂取することが効果的です。
どんな食材に含まれているのかを見ていきましょう。
魚介類を多く摂る
魚にはDHA(ドコサヘキサゴン酸)とEPA(エイコペンタエン酸)という良質な脂が含まれています。
魚の種類によって含有量が異なりますが、両者を豊富に含む魚はイワシやサバなどの青魚です。
これらの脂には、血液をサラサラにして動脈硬化症を防ぐというだけではなく、実は中性脂肪を下げる効果も期待できます。
魚を食べる際は、刺身など生の状態で食べた方が栄養を効率良く摂取することができます。
しかし、お腹を下しやすく胃腸機能が弱い方は、焼き魚や汁物など加熱調理で食べるようにしましょう。
調理がめんどくさい方は、缶詰から摂取することもおすすめです。
食物繊維をたっぷり摂る
食物繊維には、腸内でコレステロールや中性脂肪が吸収されるのを妨げる働きがあります。
食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があるため、バランス良く摂取することを心がけましょう。
<水溶性食物繊維>
食べ過ぎを防止する働きがあり、小腸での糖質の消化吸収を緩やかにしたり、コレステロールの体外排出を助ける働きがあります。
例)納豆、インゲン豆、豆類、ごぼう、カボチャや大根などの根菜類、海藻類、果物
<不溶性食物繊維>
腸の動きを活発にして、体内の不要な物質を便として排出する働きがあります。
例)白米や玄米などの穀物、キノコ類、海藻類、エビやカニといった甲殻類
植物性タンパク質を多く摂る
植物性のタンパク質には、血液中の中性脂肪やコレステロールを減らす働きがあります。
そこで、ぜひ取り入れていただきたい食材が、納豆や豆腐などの大豆製品です。
味噌汁であれば豆腐を加える、ご飯の上に納豆をかけるといった簡単な調理法で仕事盛りで忙しい40代男性でも容易に取り入れることができます。
また、お酒のおつまみには冷奴や納豆キムチなどを取り入れると、お酒を楽しみながら良質な植物性タンパク質を摂ることもできます。
調理をされる方であれば、黒豆などの豆類を料理に加えると良いです。
食事を見直す
次に、中性脂肪を減らすために効果的なレシピや料理をご紹介します。
40代を超えると老化現象により中性脂肪が増えやすい状態になりますが、この記事を読んでいる方は「仕事が忙しくて自炊ができない」「コンビニや外食が多い」という方が多いでしょう。
しかし、仕事盛りで忙しい40代男性でも、コツさえ掴めていれば中性脂肪を減らす工夫はできます。
仕事で追われている大事な時期だからこそ、中性脂肪を減らすコツを抑えて、効率良く中性脂肪を減らしていきましょう。
洋食ではなく、和食を選ぶ
中性脂肪が増える原因として、「食の欧米化」が挙げられます。
時代を遡ると、日本人の食生活は戦後急速に変化し、脂質や糖分が多い食品を好む「食の欧米化」が進みました。
朝食に例えると、これまでは焼き魚、海苔、漬物、味噌汁に白米といった和食スタイルが日本人の朝の定番食でしたが、今ではパンにジャムを塗ったり、ベーコンやハムを追加してトーストにしたりといったメニューが馴染んでいます。
また、サンドイッチやハンバーガー、油でこんがり揚げたチキンなどは、脂質も糖質もかなり高く、中性脂肪の原因になります。
コンビニ食や外食がメインの方は、パンよりもおにぎり、定食屋では和食メニューを選ぶといった「和食スタイル」を心がけるようにしましょう。
和食スタイルに食生活を変えることで、脂質と糖質の同時摂取は避けられて中性脂肪を減らすことに繋がります。
油を使う際は、量に注意する
普段料理をされる方は、油を使うことが多いでしょう。
ここで注意したいのが、油の量です。
例えば、「揚げる」と「焼く」では使用する油の量も違いますし、出来上がった料理の脂質の量も違います。
油を使って調理をする場合には、「焼く」→「炒める」→「揚げる」の順番で使用する油の量が増えます。
そして、それによって料理完成後の脂質量やカロリーも異なります。
メニューは揚げ物よりも焼き物にするといったレシピの変更や、油がいらない調理シートで炒め物を作るといった工夫をすることで、中性脂肪の原因を少しでも取り除くことができます。
肉は食べてもいいが、部位にこだわる
中性脂肪を減らす際は、お肉選びも大切になります。
バラ肉やロース肉はうま味がぎゅっと詰まった部位ですが、その分カロリーや脂質が高いです。
週に1度程度に食べるのであれば問題はありませんが、できれば胸肉やヒレ肉、ささみを選ぶようにしましょう。
また、鶏肉を調理する際には皮や脂身を取ることで、脂質の量を大幅にカットすることができます。
主食はできれば玄米やもち麦にチャレンジする
白米は玄米から全ての「糠(ぬか)」を取り除いたものです。
糠にはビタミンB群を主とするビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
また、玄米には白米よりも豊富に食物繊維を含んでおり、この食物繊維が食後の糖質への吸収を緩やかにしてくれます。
つまり、白米を食べるより玄米の方が中性脂肪になりにくいのです。
そして、最近注目を集めているのが「大麦」です。
大麦にはBグルカンという食物繊維が豊富に含まれていて、血中のコレステロール値を下げたり、食後の血糖値を下げるなど、大麦にも多種類ありますが、その中でもダントツなものがもち麦になります。
普通の白米や玄米に市販のもち麦を混ぜて炊くだけで手軽に作れますし、コンビニでももち麦を使った弁当やおにぎりが販売されています。
毎日の食事で糖質は絶対に必要なものになりますが、玄米やもち麦など、中性脂肪を減らす効果のある主食にチャレンジしてみましょう。
中性脂肪を効率的に減らす生活習慣のポイント
上記のように、中性脂肪を減らすには、食事の内容を見直すことが非常に重要になります。
また、適度な運動や筋トレをする習慣をつけて、筋肉量を増やして基礎代謝を上げたり、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回らないようにすることも、体内に余分な脂肪を溜め込まないために大切なことです。
また、毎日アルコールを摂取している方は、ビールなら500mlの缶1本、日本酒なら1合、ウイスキーならダブル1杯程度とし、週に2回は休肝日を設けるといったことも必要になります。
日常的にお酒を飲む方にとってはかなり苦痛になると思いますが、普段の量を自分なりに減らしていくようにすることで、お酒と上手に付き合うことができるでしょう。
病院院の検査で中性脂肪値が指摘されても、日常生活で改善できるようであれば、ぜひ取り入れてみましょう。
まとめ
中性脂肪は身体に必要なエネルギーであるものの、食事が乱れると付きやすく、肥満を始めとした生活習慣病を引き起こしやすく、放っておくと動脈硬化症や心臓病や脳卒中などの重篤な疾患の原因になります。
そして、中性脂肪が増えた原因の9割は日頃の食生活にあります。
つまり、中性脂肪は普段の食生活を改善しなければ減らすことは難しいです。
特に40代を対象に中性脂肪を減らすコツをまとめておりますので、「健康診断で中性脂肪を指摘された」方は食生活の見直しをやっていきましょう。