有名企業が取り入れたことにより、ビジネスマンの間でも「マインドフルネス」という言葉が知られたり、「瞑想」を実践している人が増えました。
しかし、「マインドフルネス」と「瞑想」は違うものなのか?どう違うのか?
曖昧になっていたりしませんか?
今回は、「マインドフルネス」と「瞑想」の違いや、種類とやり方についてまとめていきたいと思います。
【この記事でわかること】
マインドフルネスと瞑想の違いがわかる
瞑想の種類とやり方がわかる
マインドフルネスと瞑想の違いは目的?
“マインドフルネス”が“マインドフルネス瞑想”を意味していることで、「マインドフルネスを取り入れている」などという使い方をしている方が多いように思います。
おそらく伝えたいこととしては合っているのかもしれませんし、細かいことを言わなければそれで伝わります。
しかし、ここでは、「マインドフルネスと瞑想ってどう違うの?」そんな疑問にお答えするために詳しく解説していきたいと思います☆
【瞑想とは】
まず、瞑想は、瞑想の種類によって数千年という歴史があるものもあり、禅宗の座禅やインドのヨガから由来するものなど、さまざまな宗教で実践されてきました。
どんな宗教であっても、瞑想は「心を静めて無心になること」とされています。
この行為自体を瞑想と言うのです。
【マインドフルネスとは】
マインドフルネス瞑想と言われたりもしますが、まず、マインドフルネスとは「今この瞬間に集中する状態」を言います。
マインドフルネスという言葉自体は、瞑想の種類を指すのではなく、身体の状態を言うのです。
このマインドフルネスの状態を作るために「瞑想」が行われ、それを「マインドフルネス瞑想」と言ったりするんですね。
マインドフルネスをマインドフルネス瞑想を意味して使っている人も多いです。
以上のことから、
マインドフルネスとは身体の状態のこと
瞑想は無心になるための行為
ということになります。
マインドフルネス瞑想と言うと、瞑想の種類のことを言うんだなという解釈でも大丈夫なのですが、もっと詳しく調べてみるとそう言った解釈だけではないことがわかりました。
マインドフルネス瞑想の効果として
・生産性の向上
・集中力の向上
・ストレスや不安の軽減
・睡眠の質の改善
などが挙げられます。
これらの効果を期待して企業でも取り入れているところが多いと思います。
では、マインドフルネス瞑想以外の瞑想にはまた別の効果があるのか?と思いますよね。
実は、「瞑想」は本来、上記のような利益や目的がないものなのです。
瞑想は「心を無にすること」。
もちろん、それによってリラックスする、脳を休めるといった効果はあるのですが、マインドフルネス瞑想のように、集中力を上げるとかパフォーマンスを上げるなんていうことをゴールとしていないのです。
ざっくりとした違いを言うと、
瞑想は目的がない
マインドフルネス(瞑想)は目的がある
という感じでしょうか。
そもそも、瞑想が数千年前からある宗教の行為だということは知っているけど、マインドフルネスって新しい言葉のように思いませんか?
マインドフルネス瞑想は、1980年頃に『マインドフルネスストレス低減法(MBSR)』という、瞑想を用いた治療法として知れ渡りました。
心理学的治療の一つとして、不安障害やパニック障害をはじめ、不眠症、高血圧症、うつ病など、精神的な心の状態からかかる病気の患者に取り入れられているのです。
こういう説明を知ると、マインドフルネス瞑想は治療という目的があるものと考えやすいですよね。
最初はMBSRとして注目されることは少なかったのですが、2000年代に入って、仕事や学業への集中、仕事の生産性や効率化、良好な人間関係などに効果があると言われ始めました。
マインドフルネス瞑想をビジネスにも取り入れた一人が、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏ですね!
そこから一気にマインドフルネスという言葉が世界中に広がったわけです。
瞑想は、宗教的に行われる修行、「心を無にする」行為のこと
マインドフルネス瞑想は、集中力向上やストレス軽減などを目的とした治療法やトレーニング方法
と言えるとまとめておきます。
瞑想の種類とやり方を解説
生産性の向上や集中力の向上、ストレス軽減などの効果をもたらすことのできる瞑想にはいくつも種類があります。
瞑想は、とにかく毎日続けることが重要です。
理想は20〜30分と言われていたりしますが、そんなに時間を取れないという方や、そんなにじっとしていられない、じっとしているのが苦手という方もいるでしょう。
無理して長時間行う必要はありません。
1回5分でも良いのです。
瞑想は心の筋トレと言われています。
身体の筋トレでも、一回やっただけで急にムキムキになることはありませんよね?
心の筋トレも、急に生産性が向上する、ストレスがなくなるということはありません。
続けていくうちに徐々に変化を感じられるようになるのです。
ですので、自分の生活の中に上手に取り入れて、1回5分でも毎日行うようにしましょう。
呼吸瞑想(サマタ瞑想)
瞑想の基本となるのが呼吸瞑想です。
サマタ瞑想と言われ、宗教的な瞑想で考えるとサマタ瞑想の中でも40種類くらいのやり方があるんだそう…
瞑想の奥の深さがわかりますね。
ここでは、いつでもどこでも誰でも実践しやすいサマタ瞑想のやり方をお伝えします。
【サマタ瞑想のやり方】
- リラックスした姿勢で背筋を伸ばす(地べたに座っても椅子に座ってもOK)
- 軽く目を閉じる
- 自分の呼吸に意識を向ける
- 別のことを考えたり思いが浮かんだら、そっと呼吸に意識を戻す
とにかく、姿勢が整ったら目を軽く閉じて、3と4を時間まで繰り返すのみです。
しっかりとたっぷりと深呼吸をするのがポイント。
呼吸と心身の関係は、吸ったときに緊張し、吐いたときのリラックスするようになっているので、よりリラックスしたいときには、吐く息の方を長くしたりすると良いですよ♪
食事瞑想
日常生活に瞑想を取り入れるために、生活するのに欠かせない食事の時間に行ってみるのはいかがでしょうか?
「食べる瞑想」「マインドフルイーティング」なんて言い方もされています。
呼吸に意識を向けるのが呼吸瞑想なら、食事瞑想は食べることに意識を向けます。
あぐらを組んで、目を閉じて行うものだけが瞑想ではありません。
食事瞑想で最も例として挙げられるのが、一粒のレーズンを食べる「レーズンエクササイズ」です。
【レーズンエクササイズのやり方】
- 深呼吸をして心を落ち着かせる
- レーズンを手に取り、観察する。色や形、手に乗った感触をしっかりと感じる
- レーズンの香りを嗅ぐ。香りを嗅いでどう感じたかをありのままに感じる
「早く食べたい」「おいしそう」などの感情にも自分で気づく - レーズンを口の中に入れる。まずは唇でレーズンの感触を確認し、徐々に口の中に入れていく。舌の上で転がすように。唾液が出てくる様子も感じる
- レーズンをゆっくりと噛む。食感や味を感じる
- レーズンをゆっくり飲み込む。喉を通る感覚も味わう
レーズン一粒を味わうことで、その瞬間はレーズンを食べることにだけ集中し、それも瞑想になるということなのです。
レーズンの代わりにチョコレートを使うと「チョコレート瞑想」「カカオマインドフルネス」と言われたりもします!
普段の食事にも食事瞑想は取り入れることができます。
【食事瞑想のやり方】
- 適度にお腹が空いた状態で食卓につく
(空腹感がありすぎると早く食べたい意識が先行してしまうので) - 食事の前に深呼吸をして、空腹感を意識する
- 食べ物に感謝する時間を取る。自分の目の前に食事が並ぶまでに関わった人を思い浮かべながら感謝の気持ちを心の中で唱える
- 食べ物の色や香り、触感、音に意識を向けながら味わう
- 一口は少量ずつ。口の中に食べ物がなくなってから次の一口を口に運ぶ
食事瞑想は、一口ずつしっかりと五感で感じて食べることで満足感や満腹感を得ることができて、それがダイエットにも繋がるとされています。
歩行瞑想
呼吸瞑想は呼吸に集中する瞑想、食事瞑想は食べることに集中する瞑想と来て、歩行瞑想と言われたら、歩くことに集中する瞑想だとお分かりになるかと思います!
歩行瞑想は、自分が歩いている感覚に集中するのです。
特に集中するべきところは、足の裏です。
まずは、他の瞑想と同じようにリラックスするところから始めます。
そして、右足が地面から離れ、右足が前に出て、右足の足裏のかかとから地面に触れて、着地して、すると左足が地面から離れ、左足が前に出て、左足の足裏のかかとから地面に触れて、着地して…
という感覚を感じながら、自分の重心がどう移り変わっていくのかに意識を向けるのです。
ゆっくりしかできないものなので、家の中でトイレからリビングに向かうまでの距離だけやってみるなど、タイミングを決めて取り入れてみるのがおすすめです。
ボディスキャン瞑想
ボディスキャン瞑想は、自分の身体を観察する瞑想です。
身体のデータを取るためにスキャナーが身体の上を行ったり来たりするように、自分で自分の身体を観察するのです。
ボディスキャン瞑想はどんな姿勢でも行うことができるのですが、初心者がやりやすい姿勢として仰向けがおすすめです。
【ボディスキャン瞑想のやり方】
- 仰向けになり、腕は身体から少し離したところにだらんと置く。
手のひらは上向き。足は腰幅程度に開き、リラックスする - 軽く目を閉じる
- 自分の呼吸に意識を向ける
- 身体の部位一つ一つに意識を向ける
例)左足先、左足裏、左足踵、左足首、左足ふくらはぎ、左足すね、左足前もも、左足裏もも、左お尻、腰、背中、お腹、胸、肩、首… - 右足も同様に行い、指先から腕も左右それぞれでスキャンしていく
- 身体の部位の一つ一つの感覚を感じ終えたら、最後に全身の感覚を感じる
- 手先、足先をゆっくりと動かし、自然な姿勢に戻す
座った状態でもできるボディスキャン瞑想ですが、全身を感じやすいのは仰向けの状態です。
寝落ちOKの寝ながら瞑想というのも人気ですが、ボディスキャン瞑想は寝る前の瞑想として取り入れている方も多いですね。
リラックス効果や睡眠の質向上の効果がより期待できます。
まとめ:マインドフルネスと瞑想の違いは目的?種類とやり方を解説
マインドフルネスと瞑想は同等の意味で使われていることが多いです。
細かい説明となると、
マインドフルネスは「今この瞬間に集中する状態」のこと
瞑想は「心を無にするための行為」
と考えられます。
今この瞬間に集中する状態になるための瞑想をマインドフルネス瞑想と呼びます。
マインドフルネス瞑想は、集中力向上やストレス軽減、睡眠の質改善などの効果を期待し、目的を持って行うもので、瞑想はそのような目的なく、心を無にすることなので、目的の有無で区別され説明されることもあります。
瞑想には、呼吸瞑想や食事瞑想、歩行瞑想、ボディスキャン瞑想などさまざまな手法があります。
どれも、「その瞬間の」呼吸や、食べ物、歩くこと、身体の状態に意識をすることで、他のことを考えないようにするのです。
その瞬間に集中することやモノを決めて瞑想します。
何か雑念が浮かんできても受け流し、集中していることに意識を戻すことの繰り返しで自分をコントロールすることができ、ストレスを感じにくくなったり、人間関係が良好になったり、集中力が増したりする効果を得ることができるのです。